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散歩道


「英くんから積極的にアプローチなんて会長嬉しいわ~」
「そうか…?」

至極淡白な表情で繰り広げられるやりとりには、色恋の香りは全く感じられない。

しかし、美男美女を絵に描いたような二人組みが腕を組んで歩いているというこの図は、間違いなく二人がそういった関係だと示していた。

「ええ~。だってここ最近会長よりアストレアちゃんとかニンフちゃんと一緒の時間の方が多いじゃな~い?」
「……そうかも知れんな…」
「会長、すっごぉく寂しかったわ~」

頬に手をやり、小さくため息をはく。
自らを会長、と呼んだ彼女、五月田根美香子は遠い空を見上げて目を細めた。
そんな美香子の顔をみて、隣の青年---守形英四郎は同じくため息を吐く。
彼女に呆れてではなく、彼女の真意を推し量れない自分が嫌になったが故に。

「…すまん。だが俺は別に「大丈夫よー。会長、英くんが桜井君みたいに女なら誰でもって訳じゃないって知ってるものー」

いつものふざけた調子より、少しだけ物憂げな声に、英四郎は眉を顰める。
しかし敢えて彼は気丈に

「なら…気にするな」

と言った。

「それでも気にしちゃうのよ。会長は繊細だから~」

不意に組んでいた腕を解き、美香子はクルリと回った。
振り返りざまに、くすりと口角をあげながら。

そんな恋人の姿に、一瞬驚きながら。
英四郎もまた小さく笑う。

「…………美香子」
「なあに?英くん」
「好きだ」
「ふふ…私もよ~英くん」

特に照れるわけでもなく行われるやり取りに、色恋の香りは全く感じられないだろう。
長い時間を共にした二人以外には。


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初めて書いた英美香!糖度高めすみません
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